清 乾隆二年 陳祖章彫橄欖核舟 縦1.4 cm 横3.4 cm 高さ1.6 cm この彫刻は造辦処の著名な牙匠陳祖章が乾隆2年(1737)に製作した作品である。橄欖(オリーブ)の種が蓬船の形に彫刻されている。竹を編んで作った蓬(屋根の覆い)のある船の両側に開け閉め可能な開き窓がある。船頭や童僕、船客の姿も見え、8人が船上にいる。船底に蘇軾の「後赤壁賦」全文が行書で刻されており、陳祖章の刻款もある。ごく小さな船上の人物の様子や空間配置、丹念な描写によって、千古の名作が月夜に浮かぶ船のイメージで表されている。息を殺してそっと小さな窓を開けると、窓にもたれて座る蘇軾とともに赤壁を旅しているかのような感覚に捉われ、月明かりに照らされながら「縦一葦之所如、凌万頃之茫然。」(一艘の小舟が流されるままに、果てしなく広がる川面を進んでゆく。)─心地よい旅情が感じられる。